日本の製造業の苦境を見事なまでに予見した小論「ハイリスクR&D投資の意思決定力を高めよ」(早稲田ビジネススクールレビュー第4号pp.72-77、2006年7月発行)(※)。液晶パネル業界における大敗北の可能性を指摘したこの小論は、日本の製造業各社の横並び投資とガンバリズム偏重に警鐘を鳴らし、ハイリスクR&D投資の意思決定プロセスの変革を呼び掛けるものであった。
しかし、小論発表から6年、日本の製造業におけるハイリスクR&D投資の意思決定力は果たして高まったのだろうか。先手必勝の独自の意思決定は、実践されているのだろうか。本セミナーは、小論の執筆者二名から、あらためて日本の製造業各社にハイリスクR&D投資意思決定プロセスの変革を提案するものである。
本セミナーにおいて、執筆者の一人、早稲田大学ビジネススクール山本尚利教授は「ハイリスクR&D投資失敗の本質」と題し、スタンフォード大学スピンオフ・シンクタンクのSRIインターナショナル東京オフィスにおける17 年のMOT (技術経営)コンサルティング経験から、日本の製造業のR&D投資における思考停止問題を指摘し、シナリオ発想と意思決定の重要性を訴える。続いて、もう一人の執筆者、インテグラート社長の小川からは「ハイリスクR&D投資におけるビジネスシミュレーションの活用」と題し、仮説指向計画法(Discovery-Driven Planning)と戦略意思決定手法(Strategic Decision Management)に基づき、ビジネスプランのロジックと確からしさを可視化し、複雑で不確実な状況下の意思決定を支援するシミュレーションシステムを紹介する(仮説指向計画法と、戦略意思決定手法については、下記囲みに概略を記載)。
※本小論のPDFファイルを、株式会社日経BP企画の許諾を受け、インテグラート株式会社ホームページ
http://www.integratto.co.jp/bi/publication/report/(リンク先の上から5番目の記事)にて公開中。